暫時徒然

古典研究サイト 埋れ木

戦争の放棄などのことなど

2014-12-11

大学時代に私は伊手ゼミという政治学のゼミナールに属していた。とはいえ、政治学の勉強はまるでしていない。最近、当時一応ゼミの基本書となっていた原田 剛「政治学原論」が古本であるのを知り購入したが、やはり珍紛漢紛であった。

その伊手ゼミで、「IDEE」という機関誌を出し、それをのちに一冊の雑誌風にしたものが手元にある。そこに私の「政治的」文章も載っているのだが、それを読むと、私は当時は靖国反対、天皇制反対、自衛隊賛成であったらしい。

天皇制反対の理由は、天皇制は憲法が定めた基本的人権の究極的実現を阻害するから、というものであった。天皇、皇族に人権規定は適用されない。とはいえ、今から見ると実に青臭い内容である。
靖国反対というのは、あそこは宗教施設であり、したがってそこに政治的関与が少しでもあってはならない、というのが理由であった。

これらの点は、今の私の考えとはずれている。天皇制は持続するであろうし、またそうあることを希望する。なにせ、世界唯一の皇帝であり、諸外国もそれなりの待遇をする事実は、日本にとっても利益になるからだ。ただし、現在の形式的元首(言い換えれば象徴的元首)を実質的元首にしてしまうことだけはやめた方がいい。それによって国民主権がぼやけてしまうのなら尚更だ。

しかし、今のあの多忙を極める非人間的国事行為はむしろ天皇にとって気の毒としか言いようがない。皇太子妃が神経的に病んだのもそういうことなどが理由であろうし、皇太子もマスコミなどを通し、緊迫した宮廷の内部事情を、それとなく発信しているが、だれも真剣に受け止めてはいない様子である。

国事行為の内容は国力の増大に従って増えていく。それゆえ、大幅な削減が必要であろう。また、宮城も東京ではなく、元の京都に戻った方がいい。緑が少ない都民にとって、今の皇居はすべて開放されるべきである。

靖国神社のA級戦犯合祀がどうのこうのというのは、中国や朝鮮のプロパガンダに発するもので、日本人まで彼らのリズムで踊ることはない。
第一、A級戦犯というのは東京裁判で決められたことで、私は東京裁判自体、裁判に名を借りた卑劣なリンチだと思っている。それに日本は裁判を行なった国と交渉し、1956年3月にA級戦犯の赦免、また1958年にはB級及びC級戦犯の赦免を行なっているのである。確かに日本は悪かった...負けたのが。

故に、軍指導層は裁かれなければならない。しかし裁くのは日本人自身によるものでなければならないだろう。ただ、今更感はある。

自衛隊については、是非もなく、賛成に決まっている。およそ、自国の軍隊を否定する国家は地球上で日本しかない。日本国憲法はアメリカのリベラルな若者達によって、一週間で作られたものである。若くてリベラルというのは、非現実的な平和夢想をしがちである。
それに、おそらく日本を二度と勃興させないようにというマッカーサー側の思惑もあった。
交戦権も放棄し、素っ裸になれ、という彼ら戦勝者の非人道的思惑が憲法の中に凝縮されたといっていい。

憲法第9条(むろん前文も含め)をよく読むと、戦争があっても相手の理性を信頼して、なされるがままにしていろ、と言っていることがわかる。しかし、そんな馬鹿なことは出来ないので、あたかも嘔吐のごとく自衛隊が出来、自衛隊法が出来た。ところが基本的には戦争自体を放棄しているので、外国からの侵略があった場合、有効な防御を可能とするためのきめ細かな戦時立法が今の日本には無いといって好いくらい貧弱である。当然、戦時経済法も作れない。

戦時立法が否定されるとどうなるか。侵略などがあった場合、自衛隊は好き勝手に国民の人権を蹂躙できてしまうことになるのである(現在、自衛隊法の下位法として一応の規定はあるが、それらの内容も簡易である)。おそらくすべては超法規的措置という名目でなされる可能性がある。それだけは避けなければならない。そのためには戦争そのものを合憲としなければならない。

戦争は当然悲惨である。同じように、戦争は放棄しました、それでもなお攻撃されました、では悲惨である。そんなことはない、というのは理想主義者の夢想でしかない。中華人民共和国は6万トンの空母の製造に取りかかっている。実質的に侵略の下心を持っている。
何かの時は安保条約がある、と本気で思っていたら失望するだろう。

たしかに安保は威嚇的効果はあるが、日本が攻撃されたとき、アメリカがまず考えることは、在日駐留軍に被害がなかったかどうかであり、被害がなければ、次は攻撃国との関係を無にしてまでも日本を守る必要があるかどうか、この二点であり、仮に守ったとしても、その代価として日本に屈従を強いてくるだろう。それが現実の国際政治なのであり、現実の前には「友愛」もなにもないのである。

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